はじめに:なぜ、あなたのサイトは「沈黙」しているのか
「見られているのに、連絡が来ない」不思議
「アクセス数は順調に増えている」「ページもたくさん見られている」にもかかわらず、「問い合わせや資料請求がまったく来ない」「メールボックスが空っぽのまま」という悩みを抱えている方が非常に増えています。
この状況に直面すると、「広告を出してもっと人を集めなけれないけないのかな?」「商品の魅力がないのかな?」と不安に思われるかもしれません。
でも、実は原因はもっと別の場所にあります。
Webサイトのつくり(導線)が悪くて、「お客さまを迷子にさせている」「商品に興味をもらせられていない」という事実です。
この記事では、なぜWebサイトが複雑になってしまうのか、どうすればお客さまが迷わずに行動できるサイトになるのかを、最新のデータを交えて分かりやすく解説します。
「待ち」ではなく「エスコート」するサイトへ
これまでのホームページは、情報を載せておけば誰かが見つけてくれる「待ち」の姿勢でもなんとかなりました。しかし、情報があふれかえる現代では、それだけでは不十分です。
サイトに来てくれたお客さまを、まるで優秀なホテルのコンシェルジュのように、「こちらへどうぞ」「次はこちらをご覧ください」と親切に案内(エスコート)する設計が求められています。
売り上げや問い合わせの数は、シンプルな掛け算で決まります。
「成果」=「見てくれた人の数」×「問い合わせてくれた人の割合」
多くの企業は「見てくれた人の数」ばかり増やそうとしますが、もし「問い合わせてくれた人の割合」が低ければ、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。
この記事では、この「穴」をふさぎ、来てくれた人をしっかりと成果につなげるための「道案内(導線)」の作り方について、詳しくお話しします。
2025年の常識:「仕事中もスマホ」が当たり前
Webサイトを改善するには、まず「今、お客さまがどんな環境で見ているか」を知る必要があります。
仕事の調べ物も「まずはスマホ」の時代
以前は、「仕事の取引先を探すなら、会社のパソコンでじっくり検索するはずだ」「BtoBサイトはパソコンでよくみられているものだ」と思われていました。
しかし、2024年から2025年の最新データを見ると、その常識は完全に変わっています。
総務省などの調査によると、いまや個人のインターネット利用の8割近くがスマートフォンです。そして重要なのは、これがプライベートに限った話ではないということです。
仕事中であっても、移動中や会議の合間、リモートワーク中に、手元のスマートフォンでサッと検索して業者を探すことが当たり前になっています。
「クリックしない」お客さまを逃さない
最近は、検索エンジンのAIが賢くなり、検索結果の画面だけで答えがわかってしまうことも増えました。これを「ゼロクリック」と呼びます。
これは一見、サイトへの訪問者が減る困ったことのように思えます。しかし、見方を変えればチャンスでもあります。
なぜなら、AIの簡単な答えでは満足できず、わざわざクリックしてあなたのWebサイトを訪れてくれた人は、「もっと詳しい専門知識が知りたい」「本当に信頼できる会社を探している」という、非常に熱心な見込み客(とても有望なお客さま)である可能性が高いからです。
そんな貴重なお客さまがせっかく来てくれたのに、サイトの中で迷子にさせてしまってはあまりにももったいないです。
脳の仕組みから解明:「選ばれない」のは疲れるから
なぜお客さまは、お問い合わせボタンを押さずに帰ってしまうのでしょうか。それは、Webサイトのデザインが、知らず知らずのうちにお客さまの「脳」を疲れさせているからかもしれません。
「選択肢が多すぎると選べない」ジャムの法則
スーパーマーケットで行われた有名な実験があります。
売り場に「24種類のジャム」を並べた場合と、「6種類のジャム」を並べた場合、どちらがたくさん売れたと思いますか?
試食に立ち寄った人は24種類の方が多かったのですが、実際に購入した人の割合は、6種類に絞ったときの方が圧倒的に高かったのです(なんと10倍の差が出ました)。
これを「決定回避の法則」と言います。人間は、選択肢が多すぎると「選ぶのが面倒くさい」「失敗したくない」という心理が働き、結局「選ばない(買わない)」という行動をとってしまうのです。
Webサイトでも同じことが起きています。
- トップページに、「キャンペーン」「新着情報」「社長ブログ」「採用情報」と、バナーがグルグル回っていませんか?
- メニューを開くと、20個も30個も項目が並んでいませんか?
これらは親切のつもりでも、実はお客さまの脳を混乱させています。「選ばせてあげる」のではなく、「迷わずに済むように絞ってあげる」ことこそが、本当の親切なのです。
「脳のメモリー」を無駄遣いさせない
人間が一度に頭の中に留めておける情報の量は、とても少ないと言われています(昔から「7つ前後」と言われています)。
Webサイトを見ているとき、お客さまは「自分の悩みを解決できるか」を必死に考えています。それなのに、
- 「メニューがどこにあるか分からない」
- 「文字が小さくて読みづらい」
- 「専門用語ばかりで意味が分からない」
といった余計なことに頭を使わせてしまうと、脳はすぐに「もう無理」と悲鳴を上げます。これを専門的には「認知負荷(脳への負担)」と言います。
脳が疲れると、人は防衛本能として「サイトを閉じる」という一番楽な行動をとります。
お客さまは文章を「読まない」、ただ「眺めている」
私たちは一生懸命書いた文章を「読んでもらえる」と思いがちですが、残念ながらWebサイトを見ている人は、ほとんど文章を読んでいません。
彼らは「自分に関係ありそうなキーワード」や「ボタン」を探して、視線を高速で動かして「流し読み(スキャン)」しているだけです。
もし、探している「料金表」や「問い合わせボタン」が、パッと見て分かる場所に置かれていなかったら? お客さまは「ここにはない」と判断して、数秒で帰ってしまいます。勝負は一瞬で決まるのです。
やってはいけない!問い合わせゼロのサイトによくある失敗
問い合わせが来ないサイトには共通する「失敗パターン」を紹介します。
スマホで「巨大メニュー」を表示してしまう
パソコンの画面では便利な、マウスを乗せるとズラッと項目が出てくる大きなメニュー。これをそのままスマートフォンの画面でやってしまうのは大失敗です。
スマホの小さな画面がメニューで埋め尽くされてしまい、「今どこを見ているのか」が分からなくなります。また、指で操作するときに、隣のボタンを押し間違えてイライラさせる原因にもなります。
スマホでは、必要なときだけ開くシンプルなメニューにする必要があります。
「押してほしいボタン」が多すぎてケンカしている
「メルマガ登録もしてほしい」「資料も見てほしい」「LINEも登録してほしい」……。
これらを全部同じ強さでアピールすると、画面の中がボタンだらけになります。
先ほどの「ジャムの法則」と同じで、ボタンが多すぎると、お客さまは「どれを押せば自分にとって一番いいのか」が分からなくなり、結局どれも押さずに帰ってしまいます。これを「ボタンの共食い」と呼びます。
本当に押してほしいボタンを一つか二つに絞り、他は控えめにすることが大切です。
読み終わった後に「行き止まり」になっている
ブログ記事や事例紹介を読んで、「なるほど、いい記事だった」と満足したお客さま。しかし、記事の最後に「次のアクション(お問い合わせや、関連するサービスへのリンク)」が何もなかったらどうなるでしょうか?
お客さまは満足して、そのままブラウザを閉じてしまいます。ビジネスとしては失敗です。すべてのページには、必ず「次はこっちへどうぞ」という出口を用意しておく必要があります。
スマホ時代の鉄則:「親指」が届く場所に答えを置く
これからのWebサイト改善で一番効果があるのは、「スマホでの使いやすさを極める」ことです。特に意識してほしいのが「親指」です。
「親指ゾーン」を意識しよう
スマートフォンの利用者の約75%は、親指一本で操作していると言われています。
今、ご自身のスマホを片手で持ってみてください。画面の下半分は親指が届きやすいですが、画面の左上(戻るボタンがあるあたり)は、指を伸ばさないと届きませんよね?
- 安全地帯(親指ゾーン)
画面の下半分。ここに一番重要な「お問い合わせボタン」などを置くべきです。 - 危険地帯(届かないゾーン)
画面の左上。ここに重要なメニューを置くと、お客さまは操作しづらくてストレスを感じます。
すぐにできる改善策
画面の下に、常に「お問い合わせ」のボタンを固定して表示させてみましょう(固定フッターと言います)。これなら、記事を読んでいる途中で「あ、相談したいな」と思った瞬間に、親指を少し動かすだけでボタンを押せます。
これだけで問い合わせが1.5倍〜2倍になった事例もあります。
入力フォームを「おもてなし」の心で簡単にする
せっかく「問い合わせよう」と思ってボタンを押したのに、入力フォームが面倒くさくてやめてしまった経験はありませんか?
実は、フォームまで来た人の約7割が、入力を完了せずに帰っていると言われています。
スマホでの文字入力は、パソコンよりもずっと大変です。
- 項目を減らす
「ふりがな」や「FAX番号」は本当に必要ですか? その「アンケート項目」は本当に必要ですか?必須でない項目は思い切って削除しましょう。 - 自動入力を活用
郵便番号を入れたら住所が勝手に出るようにする、電話番号の欄では数字キーボードが出るようにする、といった設定は必須です。 - エラーはすぐに教える
送信ボタンを押してから「ここが間違っています」と言うのではなく、入力した瞬間に「半角で入力してください」などと優しく教えてあげましょう。
表示スピードは「礼儀」です
Googleの調査によると、スマホサイトの読み込みに3秒以上かかると、半数以上の人が待てずに帰ってしまうそうです。
サイトの表示が遅いというのは、お店でお客さまを何分も待たせているのと同じです。画像を軽くするなどして、サクサク動くようにすることは、お客さまに対する最低限の礼儀と言えます。
お問い合わせを倍増させる「黄金のルート」設計
使いやすさを整えたら、次はお客さまの心を動かす「仕掛け」を作りましょう。
「大きな決断」と「小さな一歩」を使い分ける
初めて会った人にいきなり「結婚してください」と言う人はいませんよね?
でも、Webサイトでは、まだ会社のことをよく知らないお客さまに、いきなり「お問い合わせ(商談)」という大きな決断を求めてしまいがちです。
「今すぐ契約したい」というお客さまにはそれでいいのですが、「ちょっと興味がある」くらいのお客さまには、もっと気楽な「小さな一歩」を用意してあげる必要があります。
- ハードルの高いボタン
「お問い合わせ」「見積もり依頼」
→「今すぐ買いたい人」向け。目立つ場所に置く。 - ハードルの低いボタン
「資料ダウンロード」「事例集を見る」「メルマガ登録」
→「情報収集中の人」向け。記事の最後などに置く。
まずは「資料ダウンロード」などで連絡先を交換し、そこからメールなどで信頼関係を作っていく。これがB2B(企業間取引)で成果を出すための定石です。
ボタンの言葉ひとつで結果が変わる
ボタンに書かれている言葉(マイクロコピーと言います)も重要です。
「送信する」「問い合わせる」という事務的な言葉だと、お客さまは「営業されそうだな」「面倒だな」と身構えてしまいます。
- Before:「お問い合わせ」
→ ユーザーの心:「電話がかかってきたら嫌だな」 - After:「プロに無料で相談してみる(60秒で入力完了)」
→ ユーザーの心:「無料ならいいか」「すぐ終わるならやろうかな」
「無料」「簡単」「メリット」を言葉にして、押すことへの不安を少しでも減らしてあげることが大切です。
業種別の成功事例
実際に「複雑な導線」を直して成果を上げた事例をご紹介します。
IT・システム業界の事例
- 悩み
商品の機能が多すぎて説明が難しく、誰に向けてサイトを作ればいいか迷っていた。 - 改善
トップページに機能を全部並べるのをやめ、「コスト削減したい方」「セキュリティを強化したい方」のように、お客さまの「悩み別」に入り口を整理しました。また、いきなり「購入」ではなく、「まずは無料デモを試す」というボタンを目立たせました。 - 結果
途中で帰ってしまう人が減り、リード(見込み客)の獲得数が増えました。
人材・採用サイトの事例
- 悩み
若い求職者がスマホで見ているのに、パソコン用のサイトをスマホサイズにしたようなサイトで使いにくかった。 - 改善
すべてのページの下に「今すぐエントリー」のボタンを固定表示しました。また、エントリーフォームの項目を最小限に絞り、志望動機などは面接で聞くようにしました。 - 結果
スマホからの応募完了率が劇的に上がり、優秀な人材を取り逃がさなくなりました。
士業・コンサルティングの事例
- 悩み
形のない商品を売るため、信頼感が必要だが、問い合わせへのハードルが高かった。 - 改善
お問い合わせボタンの近くに、「担当者の笑顔の写真」と「2時間以内に返信します」という約束の言葉を載せました。また、スマホからタップするだけで電話がかかるボタンを大きく設置しました。 - 結果
電話での問い合わせが増え、緊急度の高い(単価の高い)依頼が増加しました。
今日からできる!改善アクションプラン
最後に、今すぐご自身のサイトでできるチェックと改善の方法をお伝えします。
まずは現状を知る(数字は嘘をつきません)
「使いにくい気がする」という感覚ではなく、データを見てみましょう。Googleアナリティクスなどのツールを使えば分かります。
- スマホとパソコンの差を見る
もし、スマホでの問い合わせ率がパソコンの半分以下なら、スマホサイトに大きな問題があります。 - どこで帰っているか見る
入力フォームで帰っているのか、トップページを見てすぐ帰っているのかを確認しましょう。
テストを繰り返す(一発で正解は出ません)
Webサイトの改善に「絶対の正解」はありません。あるのは「仮説」と「検証」だけです。いきなり全部作り変える必要はありません。
- まずは、固定フッター(画面下の固定ボタン)を付けてみる。
- ボタンの言葉を「お問い合わせ」から「無料相談」に変えてみる。
- フォームの項目を一つ減らしてみる。
このように、小さな変更を積み重ねて反応を見るのが一番の近道です。
インコンフォルメからのご提案
Webサイトの導線改善は、一度やって終わりではありません。
お客さまの行動も、使うスマホも、競合他社の動きも、常に変化しています。だからこそ、「作ったまま放置」するのではなく、データを見ながら手入れをし続ける「運用」が必要なのです。
インコンフォルメは、今回お話ししたような専門的な視点で、あなたのWebサイトを「稼げる営業マン」へと育て上げるパートナーです。
よろしければ、無料相談をご活用ください。
おわりに:シンプルであることは、最強の武器
レオナルド・ダ・ヴィンチは「シンプルさは究極の洗練である」と言いました。
情報があふれる現代において、この言葉はこれまで以上に重要です。
お客さまは、選ぶことに疲れ、迷うことを嫌がっています。彼らが求めているのは、圧倒的な情報量ではなく、「自分の悩みを解決してくれる最短ルート」です。
Webサイトの導線を整理し、複雑さを取り除き、スムーズな体験を提供することは、単なるデザインの修正ではありません。画面の向こう側にいるお客さまに対する「おもてなし」の心そのものです。
もし、あなたのWebサイトからの問い合わせが「ゼロ」なら、今すぐスマートフォンを取り出し、お客さまになりきって自分のサイトを開いてみてください。そして、親指一本で、迷うことなく、ストレスなく、問い合わせまでたどり着けるか、試してみてください。
そのときに感じる「ちょっと使いづらいな」という違和感の中にこそ、ビジネスを大きく成長させるヒントが隠されているはずです。


