第1章:Web運用における「守り」と「攻め」の転換
あなたの会社のホームページは、先月いくら稼ぎましたか?
この質問に即答できない経営者は、残念ながら大多数です。
現代のビジネス環境において、企業のWebサイトは単なる情報の掲載場所から、収益を生み出す中核的な資産へと劇的に変化しています。
ところが、多くの日本企業において、Webサイトの運用はいまだに「守り」の視点――つまり「維持管理」の範疇に留まっているのが実情です。
この章のポイント
なぜ多くの企業が「ホームページ運用=守り」という固定観念に縛られているのか?
激変する2026年のビジネス環境において、その姿勢がいかに危険か?
1. 「守りの運用」の本質:リスク回避のための「保険」
多くの経営者やWeb担当者が抱く「ホームページ運用」のイメージ。
それは、驚くほど保守的です。
典型的な「守りの運用」思考
- 「サーバーが落ちなければOK」
- 「情報が更新できていればOK」
- 「セキュリティさえ守れていればOK」
これらの認識は、Webサイトを建物や設備と同様の「インフラ」として捉える視点に基づいています。
建物であれば、雨漏りを防ぎ、壁の塗装を塗り直し、セキュリティシステムを作動させることが「運用」です。
Webサイトも同じ。
ドメインの更新、サーバーの保守、CMSのアップデート、SSL証明書の更新。
これらが「運用」の名の下に行われています。
守りの運用の本質は「マイナスをゼロに戻すこと」
「守りの運用」の最大の特徴は、その目的が「マイナスをゼロに戻すこと」、あるいは「マイナスが発生するのを防ぐこと」にある点です。
- サーバーダウンによる機会損失を防ぐ
- 不正アクセスによる情報漏洩を防ぐ
- ドメイン失効によるサイト消失を防ぐ
これらは避けるべきリスクであり、そのためのコストは「保険料」です。
保険は、事故が起きなければ掛け捨てとなるコスト。
それ自体が新たな利益を生み出すことはありません。
つまり。
「守りの運用」にどれだけ予算と人員を投下しても、それは「現状維持」のための経費(維持費)であり、企業の成長に寄与する投資(資産)にはなり得ないのです。
「守りのみ」が意味すること
「守りの運用」しか行っていない企業は、こう宣言しているのと同じです。
- 「Webで集客する気がない」
- 「名刺代わりで十分」
- 「今後も何も変えない予定」
しかし、競合他社がデジタル空間でのプレゼンスを高め、顧客の購買行動がWeb中心へとシフトしている現状において、「何もしない」ことは「現状維持」ではありません。
それは相対的な「後退」であり「衰退」を意味します。
2. 2026年のビジネス環境:「守り」だけでは生存できない理由
「守りの運用」が限界を迎えている。
その背景には、2026年現在のビジネス環境における不可逆的な変化が存在します。
かつてのWebサイト:存在するだけで価値があった時代
かつては、Webサイトは「あれば良い」ものでした。
存在しているだけで一定の信頼性を担保できた時代。
しかし、デジタル技術の進化とユーザー行動の変容により、単に存在するだけのWebサイトは「死に体」とみなされるようになっています。
①BtoB購買プロセスのデジタル化とAIの台頭
衝撃的な事実:営業が接触する前に、購買プロセスの6〜8割が完了している。
特にBtoB(企業間取引)において、購買担当者の行動変容は顕著です。
顧客はGoogle検索やSNS、そしてAIチャットボットを駆使して製品やサービスを比較検討します。
2026年の新常識:AIが営業マンの前に立ちはだかる
購買担当者がAIを用いて競合製品の特徴を横断的に比較し、費用対効果をシミュレーションする。
これが2026年の標準的な購買行動です。
この環境下で何が起きるか?
「守りの運用」に終始したWebサイトは、AIによる推奨リストから除外されます。
- 数年前の情報が掲載されたままのサイト
- 顧客の課題に対する回答(コンテンツ)を持たないサイト
AIは最新かつ詳細な情報を優先的に処理します。
更新頻度が低く、情報量が乏しいサイトは「存在しない」ものとして扱われるリスクがあるのです。
セキュリティパッチを当ててサーバーを守っていても、顧客の目に触れる機会そのものが失われてしまう。
これが2026年の現実です。
②ユーザー体験(UX)への要求水準の向上
スマートフォンの普及と通信速度の向上により、ユーザーがWebサイトに求める体験の質は飛躍的に高まっています。
2026年のUX標準
- マイクロインタラクションによる操作性の向上
- パーソナライズされたコンテンツ表示
- 徹底したモバイルファースト
「守りの運用」では、こうしたトレンドへの追随は不可能です。
なぜなら、守りの運用は「現状のシステムを維持すること」が目的であり、「システムを進化させること」は範囲外だからです。
守りの運用が生む「UXの負債」
結果として、守りの運用を続けるサイトは以下の問題を抱え込みます。
- 表示速度が遅い
- スマホで見づらい
- 操作性が悪い
これらは単なる不便さではありません。
ユーザーの離脱を招くだけでなく、Googleの検索アルゴリズム(Core Web Vitals等)による評価を下げ、検索順位の下落という形で集客力を喪失させます。
守りの運用は、静かに、しかし確実に、あなたのビジネスを弱体化させていくのです。
3. 誤解の根源:「Webサイト=建設物」という錯覚
なぜ多くの企業が、Webサイトを「資産」ではなく「コスト」として扱い、「守り」に終始してしまうのか?
その根源には、Web制作を「建設工事」と同様に捉える根強い誤解があります。
ビル建設のメタファーが生む誤解
ビルや工場を建設する場合、竣工式(完成)がプロジェクトのゴール。
その後の運用は「修繕・保全」となります。
多くの企業はこのメタファーをWebサイトにも適用してしまいます。
「公開=完成」
公開した瞬間に予算は消化され、あとは最低限の維持費で回そうとする。
しかし、これは根本的な間違いです。
Webサイトの本質は「店舗」である
Webサイトの本来の姿は「店舗」や「営業所」に近いものです。
店舗であれば、開店はスタートラインに過ぎません。
- 客足が遠のけば商品の陳列を変える
- 集客イベントを行う
- 接客マニュアルを改善する
これこそが「攻めの運用」です。
Webサイトにおいても同様のPDCAサイクルが不可欠であるにもかかわらず、「建設物」としての認識がそれを阻害しているのです。
Webサイトは建物ではありません。
24時間365日稼働する、あなたの営業チームです。
第2章:「攻めの運用」の構造:成果を生み出し続ける仕組みへの転換
「守りの運用」=リスク回避の保険
「攻めの運用」=利益を創出する投資
この違いを理解していますか?
この章のポイント
「攻めの運用」とは具体的に何を指すのか?
どのようにしてWebサイトを「成果を生み出し続ける仕組み(資産)」へと育てるのか?
そのメカニズムを解き明かします。
1. 「攻めの運用」の定義と主要活動
「攻めの運用」とは、Webサイトを静的なカタログではなく、動的なマーケティングエンジンとして稼働させるプロセス全体を指します。
攻めの本質:問いを立て、データで改善する
その核心は、常に「問い」を立て、データに基づいて改善を続ける姿勢にあります。
- 「なぜ問い合わせが増えないのか?」
- 「どこでユーザーが離脱しているのか?」
- 「競合と比べて何が足りないのか?」
これらの問いに対する解を仮説検証のサイクルを通じて導き出し、実行に移す。
これが「攻め」の本質です。
守りと攻めの決定的な違い
| 比較項目 | 守りの運用(維持費・保険) | 攻めの運用(資産・投資) |
|---|---|---|
| 主目的 | サイトの存続、トラブル防止 | 成果(CV)の最大化、LTV向上 |
| 活動内容 | サーバー保守、ドメイン更新、定型更新 | アクセス解析、SEO、CRO、コンテンツ制作 |
| KPI | 稼働率、インシデント数(0件) | 問い合わせ数、商談化率、ROI、検索順位 |
| 担当者の意識 | 「何も起きないようにする」 | 「変化を起こし、数値を伸ばす」 |
| 財務的性質 | コストセンター(経費) | プロフィットセンター(投資) |
この表を見れば、両者の違いは明白です。
「攻めの運用」3つの主要領域
「攻めの運用」における主要な活動は、以下の3つの領域に分類されます。
①集客力の強化:トラフィック資産の構築(SEO・コンテンツ)
当たり前の事実:Webサイトに訪問者がいなければ、どんなに優れた製品も売れません。
「攻めの運用」では、以下のシフトを行います。
- 広告依存のフロー型集客 → コンテンツ蓄積のストック型集客
具体的にやること
- ターゲット顧客が抱える課題や疑問(検索意図)を分析
- それに応える高品質な記事やホワイトペーパーを継続的に発信
2026年のSEO:E-E-A-Tの時代
2026年のSEOでは、E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)が重視されます。
単なるキーワードの羅列ではなく、自社独自の知見や事例を盛り込んだ「資産価値のあるコンテンツ」が求められます。
一度制作すれば24時間365日集客を続ける。
広告換算価値として累積していく。
これがストック型集客の威力です。
②転換率の向上:コンバージョン最適化(CRO/LPO)
集客したユーザーを確実に問い合わせや購入(コンバージョン)へと導くための施策です。
ユーザー行動の可視化
「攻めの運用」では、ヒートマップツールなどを用いてユーザーの行動を可視化します。
- 「どこで興味を失ったか」
- 「どのボタンがクリックされていないか」
データが教えてくれます。
改善の具体例
例:入力フォームで離脱している
→ EFO(入力フォーム最適化)を実施
→ 項目を削減、自動入力を導入
例:CTAのクリック率が低い
→ 文言や配置をテストし、最もクリック率の高いパターンを採用
微細な改善の積み重ねが、最終的な成果を倍増させる鍵となります。
CVRが0.5%から1.0%になるだけで、問い合わせ数は2倍になります。
③顧客関係性の深化:リードナーチャリング(MA/CRM)
「今すぐ客」だけを追いかけていませんか?
将来的な見込み客(そのうち客)を育成するプロセスも「攻めの運用」の範疇です。
自動化された営業マンを作る
資料請求やメルマガ登録を行ったユーザーに対し、以下を実施します。
- MA(マーケティングオートメーション)ツールでステップメールを配信
- Webサイト内の行動履歴に基づいてパーソナライズされた提案
これにより、Webサイトは変貌を遂げます。
単なる受付窓口 → 顧客を教育し、購買意欲を高める「自動化された営業マン」
あなたが寝ている間も、Webサイトが見込み客を育て続ける。
これが「攻めの運用」がもたらす未来です。
2. プロが使う「攻めの運用」KPI設計フレームワーク
測定できないものは改善できない。
攻めの運用を成功させるには、正しいKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。
以下は、プロが実際に使用するKPI基準値です。
BtoB企業の標準的なKPI基準
| 指標 | 一般的な水準 | 優良サイト | 測定ツール |
|---|---|---|---|
| 自然検索流入数 | 月間1,000~3,000 | 月間10,000以上 | Google Analytics |
| 問い合わせCVR | 0.5~1.0% | 2.0~3.0% | GA4 + フォーム計測 |
| 直帰率 | 60~70% | 40~50% | Google Analytics |
| 平均セッション時間 | 1分30秒~2分 | 3分以上 | Google Analytics |
| リピート率 | 20~30% | 40~50% | Google Analytics |
| ドメインパワー | DR20~40 | DR40以上 | Ahrefs |
KPI設計の3ステップ
あなたのWebサイトの現状を把握し、明確な目標を設定しましょう。
ステップ1:現状値の把握
まず、事実を知ること。
- Google Analyticsで過去3ヶ月のデータを抽出
- 問い合わせ数、CVR、流入経路、主要ページの離脱率を確認
- 競合上位3社のトラフィック推定(SimilarWeb、Ahrefsで調査)
ステップ2:目標値の設定
売上目標から逆算するのがプロのやり方です。
例)年間売上1億円を目指す場合
- 受注20件必要
- 受注率25%なら → 商談80件必要
- 商談化率25%なら → リード320件必要
- 月間問い合わせ27件必要
ここから逆算して:
- CVR改善目標:現状0.5%を1年で1.5%へ(3倍)
- 流入数目標:月間1,000→5,000セッション(5倍)
ステップ3:施策とKPIの紐付け
目標が決まったら、施策に落とし込みます。
| 施策カテゴリー | 主要KPI | 測定頻度 |
|---|---|---|
| SEOコンテンツ制作 | 自然検索流入数、検索順位 | 月次 |
| CRO(転換率最適化) | CVR、フォーム到達率、完了率 | 週次 |
| UX改善 | 直帰率、平均セッション時間、ページ深度 | 月次 |
| リードナーチャリング | メール開封率、リピート率、商談化率 | 月次 |
3. 構造で理解する「資産」と「コスト」の違い
「ホームページ運用=資産」という主張は、単なる比喩ではありません。
財務的・経済的な観点からも、攻めの運用によって構築されたWebサイトは資産としての性質を帯びます。
①会計上の資産 vs マーケティング上の資産
会計の世界では、Webサイトは「無形固定資産(ソフトウェア)」として減価償却されます。
つまり、会計上の資産価値は年々減少していきます。
しかし、マーケティングの視点における「資産化」は、まったく逆の動きをします。
マーケティング上の資産:時間とともに増大する
Webサイトが持つ収益創出力が時間とともに増大していく状態。
これが真の資産化です。
良質なコンテンツが蓄積されれば:
- ドメインパワーが向上
- 検索順位が安定
- 過去の記事が継続的にリードを獲得し続ける
対照的な2つの道
メンテナンス(守り)しかしていないサイト
→ 経年劣化する一方
改善(攻め)を続けるサイト
→ 「のれん代(ブランド価値)」や「顧客リスト」という無形の資産を積み上げていく
あなたのWebサイトは、どちらの道を歩んでいますか?
②投資対効果(ROI)のメカニズム:LTVとCAC
「攻めの運用」が投資である理由を、数字で証明しましょう。
ユニットエコノミクスで考える
ユニットエコノミクス(顧客1人当たりの経済性)の改善こそが、投資の証です。
CAC(顧客獲得コスト)の低減
「攻めの運用」によってオーガニック流入(検索エンジンからの無料流入)が増加。
→ 有料広告への依存度が下がる
→ 長期的には1件あたりのCAC(顧客獲得コスト)が低減
LTV(顧客生涯価値)の向上
Webサイトを通じて既存顧客に有益な情報を提供し続ける。
→ 顧客満足度が向上
→ リピート率やアップセル率が高まる
→ LTV(顧客が生涯にもたらす利益)が最大化
成功の方程式
ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC
一般的に3以上が健全な状態とされます。
「守りの運用」の場合:
- CACが高止まり
- LTVへの寄与もゼロに近い
- 数値は改善しない
「攻めの運用」の場合:
- CACが下がる
- LTVが上がる
- 数値が健全な状態へ
「攻めの運用」こそが、この数値を健全な状態へと押し上げる唯一の方法です。
第3章:なぜ「攻めの運用」は自社内だけでは難しいのか
「攻めの運用」の必要性は理解した。でも、実行できない。
これが多くの企業の現実です。
実際にそれを実行に移し、継続できている企業は多くありません。
この章のポイント
なぜ多くの企業が「やりたいが、できない」というジレンマに陥るのか?
その背景にある構造的な組織課題とリソースの限界とは?
1. 「ひとりWeb担当者」の限界と構造的疲弊
あなたの会社のWeb担当者は何人いますか?
日本の中小・中堅企業の多くでは、Web担当者が1名、あるいは他業務との兼務で配置されているケースが圧倒的に多いです。
この「ひとりWeb担当者」体制。
これこそが、攻めの運用を阻む最大のボトルネックとなっています。
①スキルセットの過剰な広範化
「攻めの運用」を実行するために必要なスキルセット。
それは、極めて多岐にわたります。
- 戦略立案:経営目標とWebKPIの紐づけ、競合分析、ペルソナ設計
- コンテンツ制作:ライティング、取材、撮影、画像編集
- テクニカルスキル:HTML/CSS、CMSの管理、サーバー知識
- マーケティング:SEO、広告運用、SNS運用、MAツールの設定
- データ分析:Google Analytics(GA4)、Search Console、ヒートマップの解析
これは無理ゲーです
これらすべてを1人の人間に求めることは、サッカーチームの役割(FW、MF、DF、GK、監督)をすべて1人でこなせと言うに等しいもの。
2026年のWebマーケティングは高度に専門分化している。
ジェネラリスト1名ですべてをカバーすることは物理的に不可能です。
②「守り」による「攻め」の圧殺
ひとり担当者の日常。
それは、「守りの運用」に忙殺される運命にあります。
緊急タスクの嵐
- 「サーバーが重い」
- 「画像を変えてほしい」
- 「メールが届かない」
社内からの突発的な要望やトラブル対応(緊急度が高く、重要度が低い業務)は、待ったなしで降り注ぎます。
攻めの業務は常に後回し
その結果、以下の業務は常に後回しにされます。
- 「競合分析」
- 「コンテンツ企画」
これらは緊急度は低いが、重要度が高い業務です。
構造的疲弊のメカニズム
「守り」と「攻め」を同時に担わされた担当者は:
- 成果(攻め)が出ないことへのプレッシャー
- 減らないルーチンワーク(守り)
この板挟みで精神的に疲弊していきます。
この構造的欠陥を放置したまま担当者の「やる気」に依存しても、攻めの運用は決して定着しません。
2. インハウス化の失敗と「ガラパゴス化」のリスク
「コスト削減のために、全部内製化しよう!」
これは一見賢明な判断に見えます。
しかし、Web運用を完全に内製化(インハウス化)しようとする試みは、多くの場合失敗に終わります。
インハウス化が招く3つの罠
①客観的視点の欠如
社内の人間だけで運用していると:
- 業界の常識や社内用語がそのままWebサイトに反映される(プロダクトアウト思考)
- ユーザー(マーケット)が何を求めているかという「マーケットイン」の視点が失われる
- 独りよがりなサイトになる
②最新トレンドからの孤立
Web業界のトレンド変化は激しいもの。
外部の専門家との接点を持たないインハウス担当者は、情報のキャッチアップに限界があります。
結果:
- 数年前に流行った古いSEO対策を続ける
- 時代遅れのデザインを使い続ける
- 「運用のガラパゴス化」が進行
③属人化とブラックボックス化
担当者が退職した瞬間、すべてが止まります。
- Webサイトの構造が誰もわからない
- 更新手順が誰もわからない
- 分析データの見方が誰もわからない
複雑化した現代のWeb運用をすべてドキュメントに残すことは困難。
運用が事実上停止する事態を招きます。
3. 経営層と現場の認識ギャップ
経営者の期待:
「Web担当者を置いたから、売上が上がるはずだ」
現場の現実:
「リソースがなくて何もできない」
このギャップこそが、最大の問題です。
結果だけ求めて、リソースは提供しない
経営層はWebサイトに対して「売上」や「問い合わせ」という結果を求めます。
一方で、それに見合うリソース(予算、人員、権限)を提供していないことが多いです。
軽自動車でF1レースに参戦
「Web担当者を一人置いたから大丈夫だろう」
この認識は、F1レースに軽自動車で参戦させるようなものです。
投資なくして成果なし
攻めの運用には、以下が必要です。
- 分析ツールの導入費
- コンテンツ制作費
- 専門的な知見に対する投資
経営層がこれを理解しなければ、現場の疲弊は止まりません。
そして、成果も出ません。
第4章:「攻めの運用」を実現する3つの選択肢と判断基準
自社内だけでは完遂が困難な「攻めの運用」。
では、どのように実現すればよいのか?
この章のポイント
プロの視点から、3つの選択肢とそれぞれのメリット・デメリット、そして最適な選択をするための判断基準を解説します。
選択肢1:完全内製化(インハウス化)
概要
自社で人材を採用・育成し、すべてのWeb運用を社内で完結させる方法。
✅ メリット
- 自社のビジネスへの理解が深い
- 意思決定が速い(社内で完結)
- 長期的にはコストを抑えられる可能性
- ノウハウが社内に蓄積される
❌ デメリット
- 優秀な人材の採用が困難(年収500~800万円 + 採用コスト)
- スキルセットが広範囲で1人では対応不可能
- 客観的視点の欠如(業界の常識に縛られる)
- 担当者の離職リスク(ノウハウの消失)
- 最新トレンドのキャッチアップが困難
🎯 こんな企業に向いている
以下のすべてに当てはまる企業のみ。
- Webマーケティングがビジネスの中核機能である
- 高度な独自性やスピードが求められる
- Webマーケティング専任チーム(3名以上)を組成できる
- 採用・育成に年間1,000万円以上投資できる
- 月間Web運用予算が100万円以上確保できる
📊 現実的な成功率
10~20%
多くの企業が挑戦しますが、人材確保と継続性の問題で挫折します。
選択肢2:部分外注(ハイブリッド型)
概要
自社で戦略立案・ディレクションを行い、実作業(コンテンツ制作、デザイン、コーディング等)を外部に委託する方法。
✅ メリット
- 自社のコア業務に集中できる
- 専門スキルを必要な時だけ活用
- 完全内製より初期コストが低い
- 複数のパートナーから最適な提案を選べる
❌ デメリット
- ディレクション工数がかかる(発注・確認・修正指示)
- 品質がバラバラになりやすい
- 戦略部分は自社で設計する必要がある
- パートナー選定とマネジメントスキルが必要
🏢 必要な社内体制
- Web専任担当者1名(ディレクション可能なレベル)
- 月次で10~20時間のマネジメント工数
- 外注コスト:月10~30万円を確保できる
🎯 こんな企業に向いている
- Web担当者が1~2名在籍している
- ある程度Web知識がある(自分で判断できる)
- 月間Web運用予算が10~30万円程度
- 特定領域(SEO、広告、デザイン等)だけ強化したい
📊 現実的な成功率
40~50%
適切なパートナー選定とマネジメントができれば成果が出る選択肢。
選択肢3:運用代行(フルアウトソース)
概要
戦略立案から実行までを専門会社に一括委託する方法。
✅ メリット
- 即座に専門チームを獲得できる
- 社内リソースをコア業務に集中できる
- 最新トレンドとベストプラクティスを活用
- 客観的な視点での改善提案
- 成果に対する責任が明確
❌ デメリット
- 月額コストが高い(月20~50万円)
- 自社のビジネス理解に時間がかかる
- ノウハウが社内に蓄積されにくい
- パートナー選定を間違えると成果が出ない
🏢 必要な社内体制
最小限のリソースでOK。
- 窓口担当者1名(月5時間程度の連携)
- 経営層の理解とコミット
- 月次ミーティングへの参加
🎯 こんな企業に向いている
- Web経由の売上を本気で伸ばしたい
- 社内にWeb人材がいない、または採用できない
- 短期間(6ヶ月以内)で成果を出したい
- 月間Web運用予算を30万円以上確保できる(またはROIを見て投資判断ができる)
📊 現実的な成功率
60~70%
優良なパートナーを選べば、最も成果が出やすい選択肢です。
プロが教える「最適な選択」をするための判断フレームワーク
「で、結局うちはどれを選べばいいの?」
どの選択肢が自社に最適かは、以下の4つの軸で判断します。
判断軸1:Web運用予算
| 月間Web予算 | できること | 推奨選択肢 |
|---|---|---|
| 5万円未満 | サーバー保守のみ(守りのみ) | まずは予算確保を優先 |
| 5~15万円 | 部分外注(コンテンツ制作 or SEO対策) | 部分外注 |
| 15~30万円 | 部分外注(複数領域)or 小規模運用代行 | 部分外注 or 運用代行 |
| 30~50万円 | 本格的な運用代行(SEO + CRO + コンテンツ) | 運用代行 |
| 50万円以上 | フルサポート運用代行 or 内製チーム構築 | 運用代行 or 部分内製 |
予算の考え方:目標売上から逆算する
目標売上から投資額を決めるのが正解です。
- 年間売上1,000万円を目指す → 月20~30万円の投資(ROI 3~4倍)
- 年間売上5,000万円を目指す → 月50~100万円の投資(ROI 4~8倍)
- 年間売上1億円を目指す → 月100~200万円の投資(ROI 5~10倍)
投資なくして、リターンなし。
判断軸2:社内のWeb人材レベル
| レベル | 特徴 | 推奨選択肢 |
|---|---|---|
| レベル0 | Web担当者不在、または他業務と兼務 | 運用代行 |
| レベル1 | 基本的な更新作業はできる | 運用代行 or 部分外注 |
| レベル2 | GA4を見て分析・改善提案ができる | 部分外注 |
| レベル3 | SEO・CRO・MAの実務経験がある | 部分外注 or 完全内製 |
| レベル4 | Web専門チーム(3名以上)が在籍 | 完全内製 |
判断軸3:求める成果までのスピード
| 目標 | 推奨選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 6ヶ月以内に成果 | 運用代行 | プロの即戦力を活用 |
| 6ヶ月~2年で成果 | 部分外注 or 運用代行 | 段階的な改善 |
| 1年6ヶ月〜で成果 (1年以上かけて育成) | 完全内製 | 人材育成に時間をかける |
判断軸4:経営層の理解とコミットメント
| 経営層の姿勢 | 推奨選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 無関心(予算も出さない) | まずは意識改革から | 何をやっても成果が出ない |
| 理解はあるが予算が限定的 | 部分外注 | 小さく始めて成果を示す |
| 投資意欲あり・ROIで判断 | 運用代行 | プロに任せて短期間で成果 |
| 戦略的重要課題と認識 | 運用代行 + 内製化準備 | 本気で取り組む体制 |
⚠️ 最も重要なポイント
Webマーケティングの成否は、予算や施策以上に「経営層がどれだけコミットしているか」で決まります。
経営層が「とりあえずやっておいて」という姿勢では、どんな優秀なパートナーでも成果は出せません。
本気でWebを資産にしたいなら、経営者が本気になる必要があります。
インコンフォルメの運用代行サービスの特徴
ここまで一般論として3つの選択肢を解説しました。
当社インコンフォルメは「選択肢3:運用代行」において、他社にはない「攻めの運用代行」を提供しています。
①最高マーケティング責任者(CMO)としての視点
単なる作業代行ではありません。
インコンフォルメは、経営戦略とホームページ運用戦略を一致させるCMOとしての役割を担います。
提供価値
- KGI(売上・問い合わせ・採用)にコミット
- ホームページ運用の判断をプロに任せられる安心感
- 「どこを直すべきか」「何を優先すべきか」を、経営目標から逆算して決定
経営者が毎回判断に迷う状態をなくし、意思決定コストを下げながら成果の再現性を上げる。
これがCMOとしての役割です。
具体的にやること
- KGIの設定 :問い合わせ増、採用強化、商談化率UPなど、狙いを明確にする
- ターゲットと言語の統一 :誰に何を伝えるかを揃え、サイト全体の”ブレ”をなくす
- 導線設計 :「認知 → 興味 → 関心 → 信頼 → 行動」を一本のストーリーにする
- 優先順位づけ :今月やること・やらないことを明確にし、成果に集中する
これにより、ホームページ運用のマネジメントから解放され、本来やるべき仕事に集中できます。
②「守り」ではなく「攻め」の運用
保守業務や更新作業は当たり前にやります。
インコンフォルメの価値は、その先の「攻め」にあります。
攻めの運用の具体例
- アクセス解析から課題を発見(Ahrefsなどのプロ向けマーケティングツールも使用)
- 離脱率や順位低下を検知し、改善提案
- CTA・フォームのA/Bテスト実施
- SEO・SXO・AIO・LLMOを意識したコンテンツ制作や改善
指示される前に、いま必要な施策をこちらから提案するのが前提です。
守りではなく攻めのホームページ運用で、競合に差をつけます。
③Web担当者も、一緒に育てる
社内にWeb担当者がいる場合。
単に作業を代行するだけでなく、担当者も育てます。
- 「どう分析するのか」
- 「なぜその施策を行うのか」
- 「具体的にどのように実施するのか」
- 「次に何を考えるべきか」
これらを言語化しながら進めます。
「釣った魚を与えるのではなく、釣り方を教える」
これが伴走型の支援です。
育成の効果
- 社内にホームページ運用の知見が蓄積される
- より高度な施策にも挑戦できる土壌が育つ
- 将来的な内製化への道筋が見える
社内Web担当者を育てながら成果も出す。一石二鳥の運用をご提案します。
④「何をやっているか分からない」をなくす
外注あるあるの「ブラックボックス化」を徹底的に排除します。
毎月の定例打ち合わせでは、以下を必ず言語化して共有。
- 「実施した施策」
- 「かかった時間」
- 「数値の変化」
- 「次月の狙い」
透明性の高い運用
- 実施内容の完全可視化
- 作業時間の明確な報告
- 数値変化の根拠説明
- 次月施策の意図と期待効果
「前月より、何がどう良くなったのか」を明確にする。
成長を実感できる運用を行います。
⑤社長が一人で抱え込まないために
インコンフォルメは、単なる外注先ではありません。
経営者の思考を支えるパートナーとして伴走します。
提供するサポート体制
- 月1回の定例ミーティング
- LINE・メール・電話でいつでも相談
- ホームページ運用だけでなく、経営視点での壁打ち
- メンターとして何でも相談できる関係性
ホームページ運用の相談だけでなく、経営の孤独を一緒に乗り越えるパートナーとして、貴社のビジネスを支えます。
経営に集中しながらホームページを成長させる体制を一緒に作りましょう。
第5章:結論 – Web運用における「保険」と「投資」のポートフォリオ戦略
ここまで読んでくださったあなたは、攻めのホームページ運用に今すぐ取り組みたくなっているはずです。
本記事の総括として、Webサイト運用における「守り」と「攻め」の関係性を再定義し、企業が取るべき戦略的アクションを提言します。
1. 「守りだけでいい企業」の条件とリスク
冒頭で「守りだけでいい企業」として、以下を挙げました。
- 「Webで集客する気がない」
- 「名刺代わりで十分」
- 「今後も何も変えない予定」
しかし、2026年の現在、本当にそのような姿勢で存続できる企業は存在するのでしょうか?
「守りだけ」では信用を失う時代
たとえWebでの直接的な集客を意図していなくても:
- 採用活動:求職者は必ず企業のWebサイトを確認
- 与信管理:取引先や金融機関もWebサイトの活動状況をチェック
更新が止まり、セキュリティが脆弱で、スマホで見づらい「守りのサイト」。
これは:
- 優秀な人材の応募を躊躇させる
- 取引先の信用を静かに毀損する
結論
現代において「守りだけでいい」と言い切れる企業は、事実上存在しません。
すべての企業にとって、最低限の「攻め(信頼性の維持・向上)」は必須要件です。
2. 結論:守りは「保険」、攻めは「投資」
本稿で繰り返し論じてきた通り、Web運用の本質は二項対立ではなく、両者の役割分担にあります。
守りの運用(維持費)= 保険
役割:マイナスを防ぐ
ダウンタイム、ウイルス、改ざん、リンク切れを防止。
性質:事業継続のための必須コスト
支払っても売上は増えません。しかし、支払わないと事業が止まります。
リスク:停止すれば「即死」
サイト消滅、信用失墜を招きます。
攻めの運用(資産構築)= 投資
役割:プラスを最大化する
問い合わせ増、ブランド構築、LTV向上。
性質:将来のキャッシュフローを生み出す資本投下
複利効果で成長するビジネスエンジン。
リスク:停止すれば「衰退」
競合への敗北、市場からの退場、機会損失を招きます。
多くの企業が犯している過ち
「保険」に予算の100%を使い、「投資」に予算を割いていない。
これでは:
- リスクに備えているだけ
- 未来を切り拓く力は生まれない
守りだけでは、ゆっくりと衰退していくだけです。
3. 貴社への提言:Web運用を「資産運用」へ変えるために
今すぐ、自社のWeb運用の実態を見直してください。
以下のチェックリストを用いて、自社が「守り」に偏っていないかを確認しましょう。
【2026年版】Web運用状況診断チェックリスト
| 診断項目 | 守りの運用(保険型) | 攻めの運用(投資型) |
|---|---|---|
| 運用の目的 | サイトを維持すること | 売上・問い合わせを増やすこと |
| KGI/KPI設定 | 特になし、または稼働率 | 問い合わせ数、CPA、LTV、ROI |
| 更新内容 | お知らせ(休業案内など)のみ | 顧客の課題解決につながる記事・事例 |
| 分析頻度 | 年に数回見るか見ないか | 毎月レポートを確認し、改善策を実行 |
| 競合意識 | 気にしていない | 常に競合サイトの変化を監視している |
| 予算の考え方 | なるべく安く済ませたい(経費) | リターンが見込めるなら投下する(投資) |
| 体制 | 社内担当者の兼務・片手間 | 専門パートナー(インコンフォルメ等)との協働 |
診断結果
もし、多くの項目が「守りの運用」に該当するのであれば。
貴社のWebサイトは資産ではなく、単なるコストセンターになっている可能性が高いです。
最後に:今日から始める「攻めの運用」
ビジネス環境が激変している今、守りだけのホームページ運用では“何も生み出さない”。
この事実を直視し、「攻めの運用」へと舵を切る決断が必要です。
「攻めの運用」は、一朝一夕に結果が出るものではありません
しかし。
今日からコンテンツを積み上げ、データを分析し、改善を繰り返すことで:
1年後、3年後の貴社のWebサイトは、競合が追随できない強力な「資産」へと変貌を遂げています。
パートナーとして
そのためのパートナーとして、分析スキル、マーケティング視点、そして継続的な改善力を提供するインコンフォルメをぜひ活用してください。
「守り」で足元を固め、「攻め」で未来を創る。
この両輪が揃って初めて、Webサイトは真の経営資源となるのです。


